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趣味=思考遊び

里親の種類

里親制度について、誤解をしている人は多いと思います。私もその一人でした。
里親=養子縁組のイメージであったり、里親=親代りだと思っている人も多いでしょう。しかし、正確にはその表現は間違いです。

噛み砕いて言えば、里親制度とは『児童養護施設の職員の役割を委託されて、自宅で要保護児童(原則18歳までの子ども)を養育する制度』です。委託された子ども毎に異なる自立支援計画に基づいて、言うなれば我が子以上に気を付けて養育する必要があるのです。

里親に種類があることも、私はつい数ヶ月前までは、全く知りませんでした。そこで、里親の種類について書いてみたいと思います。

【里親の種類】
里親には「養育里親」「専門里親」「養子縁組を希望する里親(養子縁組・特別養子縁組)」「親族里親」がいます。調べれば分かることですが、私なりに説明してみようと思います。

まず「養育里親」と「専門里親」についてです。どちらも養子縁組を目的とせずに、要保護児童を養育する里親です。養育里親と呼ばれるのがいわゆる一般的な里親で、私はこれに申請をしています。

養育里親の中で、専門的知識をもって養育にあたる必要のある子ども(非行児、酷い虐待を受けた子、障害をもつ子など)を養育するのが専門里親です。専門里親に申請するためには、別途基準が設けられています。養育期間も他の里子と異なるなど、少しハードルの高い里親といえます。

次に、「養子縁組を希望する里親」ですが、この中には「養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。「養子縁組」をすると、子どもの戸籍に実親・養親共に表示されるのに対し、「特別養子縁組」では実親が抹消され、養親のみが表示されます。前者の場合は養親の戸籍の子どもの続柄に「養子」と明記されますが、後者の場合は「長男(長女)」と記載されます。つまり「特別養子縁組」というのは、実親と完全に縁を切る手続きになるのです。ただし、特別養子縁組ができるのは原則6歳未満の子どもに限ります。

最後に「親族里親」とは、両親が死亡または行方不明などで養育できない場合に、親族がその子どもを養育する場合です。東日本大震災で、多くの親族里親が登録をしました。

特別養子縁組を希望する人は沢山います。不妊治療を経て子どもを授かることのできなかった夫婦が多く、「実子として迎えたい」と特別養子縁組を希望するのです。しかし、需要と供給はマッチしていません。特別養子縁組に出せる乳幼児は、割合にしてほとんどいないからです。

私が出会ってきた特養希望里親たちは、「特養だと子どもがくる可能性が低いから、養育里親にも登録をした」と口をそろえます。不妊治療が長かった人ほど登録が遅く、特養には養親の年齢制限があるために、子どもがくる可能性が低くなる…そんな現実もあるようです。

養子に出すか出さないかは、児相が勝手に決められるわけではありません。親権停止されていない場合は、実親の承諾が必要になります。「自分で育てられないけれど養子には出したくない」「里親に懐くのが嫌だから施設で育ててほしい」が通用するのが日本の現状なのです。そういう実親が沢山います。「自分で育てられないけれど親権は手離したくない」、日本では親権が最強なのです。

養子縁組が子の最善の利益であると考える有識者が多いことは確かですが、残念ながら日本では「子」より「親」の権利が優勢です。ほとんどの要保護児童には実親がいます。

要保護児童は様々な背景を抱えていますが、それは子ども自身のせいではありません。そして、どんな事情であったとしても、子どもにとって実親という存在は特別なのです。また、実親に必ずしも非があるわけでもありません。養子縁組を目的とせずに要保護児童を養育する里親が必要であるという現状を受け止め、多角的な支援が必要だと思います。

ということで、里親にも種類があるということが、少しでもお分りいただけたら幸いです。私の知り得た情報を掻い摘んで書いていますので、実際にはもっと細かい事情や制度があります。少しずつ、自分の頭の中を整理しながら書いていきたいと思います。