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趣味=思考遊び

里親の様々な形態と社会的養護

いわゆる一般的な里親を「養育里親」といいますが、養育里親にも様々な形態があります。「週末里親」や「季節里親」は最近耳にする言葉ですが、一時保護のためにも里親制度が利用されます。

 
母子家庭で入院が決まり、頼れる親族もいない。私の居住市の場合は、7日以内であればショートステイという制度を利用することができます。これは、各自治体によって、宿泊可能期間が異なります。
 
長期入院になった。そんな場合は通常、児童相談所の一時保護所でのお預かりになります。しかし、一時保護所がいっぱいであるなどの理由で入れない時は、里親家庭に短期委託をすることがあります。もちろん保護者の了承が必要です。
(一時保護所とは、様々な事情を抱える子ども達が、今後親元に返るのか、児童養護施設に行くのか、里親宅に行くのか、どこの施設が好ましいかなどの進退を判断するまでの短い間に、一時的に身を置く場所です。各児童相談所に設置されていますが、場所は地図には載っていません。)
 
乳児院に入る予定の赤ちゃんがいるが、乳児院内でインフルエンザが流行っているので、一時的に預かってくれないか。」という依頼もあるそうです。
 
このような短期委託は、里親制度の大きなメリットだと考えます。乳幼児や児童だけではありません。先輩里親さんの体験談では、高校3年生の男の子を、一年間だけ受け入れたという例もあります。
 
児童相談所の一時保護所は、基本的に子どもが自分の意思で出入りできるところではありません。外からも中からも鍵が掛けられ、一時保護所内で全ての生活ができるように、教室があり、体育館があり、食堂があり、居所があります。教室では先生が、小学生〜高校生までの年齢に適した課題を与えて授業とするのです。
 
そういった施設ですから、短期で一時的な理由のある保護の場合には、里親宅から学校へ通ったり、母親が入院をしていれば里親と一緒にお見舞いに行ったり、親戚のおじさんおばさんの感覚で里親と共に過ごすことは、理に適っていると思います。(個人的には肩身がせまいとは思いますが…)
 
また、通称週末里親や季節里親と言われる、これまた「親戚のおじさんおばさん役」として、里親制度が利用されることもあります。要保護児童にはそのほとんどに実親がいますから、学校が休みの週末だけ自宅に帰るという生活をおくっている子もいます。経済的理由や親の仕事の関係で、平日は児童養護施設で暮らしているのです。
 
そういった子もいれば、学校が休みの日に「帰れない子」もいます。自分だけ帰るところがない…そんな子に、特定の「帰るところ」をつくるのが週末里親や季節里親と呼ばれる人たちの役割です。
 
週末に一緒にお出かけをしたり、夏休みに一緒に旅行へ行ったり。家庭という小さな社会での「体験」を積み重ねます。ここで大切なのが、「特定の家庭であること」です。ジャパンテントではありませんから、「いつもの、よく知った」という関係性が何よりも大切です。
 
こうして様々なアプローチをしながら、子どもを自立まで育てていきます。社会で育てる、それが「社会的養護」です。里親制度は、社会的養護の一端を担っています。
 
保育園や病児保育、ファミサポと同じ、子育て支援機関でもあります。そう考えると、里親制度がもっと認知をされ、里子があちこち身近にいる環境になってもよいのでは、と私は感じています。